2014年05月19日

ききみみ・・・昔話♪

今日のお話は~~~~

私の大好きなお話なんです!

ききみみ・・・昔話♪




鉢かつぎ姫

むかしむかし、河内の国(かわちのくに→大阪)に、
ひとりの大金持ちが住んでいました。
 
なに不自由ない暮らしをしていましたが、
子どもだけはどうしてもさずかりません。



 それで毎晩、長谷寺(はせでら)の観音さま(かんのんさま)に
手を合わせてお願いをして、
ついに念願の子どもが生まれたのです。



 その子どもはお母さんによく似た、美しい姫です。



 ところが姫が十三才になった年、お母さんは重い病気にかかりました。
 

お母さんは、姫を枕元に呼ぶと、
「わたしはまもなく遠い所へ行きます。
 わたしがいなくなるのは運命ですから、
悲しむ必要はありません。
 

さあ母の形見に、これを頭にのせていなさい。
 きっと、役に立ちますからね」

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 そう言って重い箱を姫の頭の上にのせたばかりか、
大きな木の鉢(はち)までかぶせました。



 そして、お母さんはなくなりました。
 お父さんは姫の頭の上の鉢を取ろうとしますが、
どうしてもはずせません。



 そのために姫は『鉢かづき』といって、
バカにされたり、いじめられたりしました。

 
やがてお父さんに、二度目の奥さんがやってきました。


この新しいお母さんが悪い人で、
鉢かづき姫にいじわるをしたり、かげ口をたたいたり、

 最後にはお父さんをうまくだまして、鉢かづき姫を追い出してしまったのです。



 家を追い出された鉢かづき姫は、
シクシク泣きながら大きな川のほとりにやってきました。


「どこへ行ってもいじめられるのなら、
ひと思いに、お母さまのそばへ行こう」



 ドボーン!
 思いきって川の流れに飛び込みましたが、
木の鉢のおかげで浮きあがってしまいました。
 鉢かづき姫は、死ぬ事さえ出来ないのです。



 村の子どもたちが、鉢かづき姫に石を投げました。
「わーい。頭がおわん。からだが人間。お化けだぁー」



 ちょうどその時、この国の殿さまで山陰(さんいん)の
中将(ちゅうじょう)という人が、家来を連れてそこを通りかかりました。

 中将は親切な人だったので、鉢かづきを
家に連れて帰ってふろたき女にすることにしました。



 この中将には、四人の男の子がいます。


 上の三人は結婚していましたが、
一番下の若君には、まだお嫁さんがいませんでした。



心のやさしい若君は、鉢かづき姫が傷だらけの手で水を運んだり、
おふろをたいたりするのを見てなぐさめました。

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「しんぼうしなさい。きっと、良い事があるからね」

「はい」
 

鉢かづき姫は、どんなにうれしかった事でしょう。
 こんなにやさしい言葉をかけられたのは、
お母さんが死んでから初めてです。

 それから、何日か過ぎました。



 若君は、お父さんの前へ出ると、
「父上。わたしは、あの娘と結婚しようと思います。
しんぼう強く、心のやさしいところが気にいりました」

と、言ったのです。
 

もちろん、お父さんの中将は反対です。

「ならん! あんな、ふろたき女など!」

「いいえ! あの娘は素晴らしい女性です。
あれほどの娘は、他にはいません!」



「素晴らしい? 他にはいないだと? ・・・よーし、
では嫁合わせをしようではないか。兄たちの嫁と、
あの鉢かづきを比べようではないか」
 

三人の兄の嫁は、とても美しい娘です。



 こうすれば鉢かづき姫は恥ずかしくて、
自分からどこかへ行ってしまうだろうと考えたのです。



 さて、いよいよ嫁合わせの夜がきました。



 鉢かづき姫は思わず手を合わせて、長谷寺の方をおがみました。顔05

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「お母さま。
 観音さま。
 今夜、嫁合わせがあります。
 お兄さま方のお嫁さんは、とても美しい姫君たちと聞きます。
 わたしの様な鉢かづきが出て行って、
いとおしい若君に恥をかかせるくらいなら、いっそこのままどこかへ・・・」
 

その時です。



 今までどうしてもはずれなかった頭の木鉢が、
ポロリとはずれたのです。



 鉢の下からは、かがやくばかりの姫が現れました。



 そして鉢の中からは、金・銀・宝石があとからあとからこぼれ出ました。



 そこへ現れた若君が言いました。



「やはり、あなたは素晴らしい娘だ。
さあ、美しい姫よ、嫁合わせに行きましょう」
 

屋敷の中では、三人の兄たちの美しく着飾った姫たちがならんでいます。



 そこへ鉢かづき姫が、ニコニコと笑いながら現れました。



「おおーっ」
 

お父さんの中将が思わず声をあげたほどの、
まぶしいばかりの美しさです。



 中将は鉢かづき姫の手をとって自分の横に座らせると、
若君に言いました。


「まったく、お前の言う通り素晴らしい娘だ。
この娘を妻とし、幸せに暮らすがよい」クラッカー

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「はい、父上!」

「ありがとうございます。お父さま」
 

それから若君と姫は仲むつまじく暮らして、
二人の間には何人かの子どもも生まれました。



 ある時、鉢かづき姫が長谷寺の観音さまに
お参りをしたときのことです。



 本堂の片すみで、みすぼらしい姿のお坊さんに会いました。
 

そのお坊さんの顔を見て、鉢かづき姫はびっくり。



「まあ、お父さまではありませんか」

「姫、姫か!」
 

二人は抱き合って、数年ぶりの再会を喜びました。



 すっかり落ちぶれて新しい奥さんにも見捨てられたお父さんは、
鉢かづき姫を追い出した事を後悔して、
旅をしながら鉢かづき姫を探していたのです。


「すまなかった。本当にすまなかった」
 

泣いてあやまるお父さんに、鉢かづき姫はにっこりほほえみました。


「いいえ。いろいろありましたが、今はとても幸せなのですよ」さくら



 それからお父さんは鉢かづき姫のところにひきとられ、幸せに暮らしました。


おしまい


日本のシンデレラストーリー

ハッピーエンドはやっぱりいいですね~!ハート




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Posted by ききみみあんこ at 17:13│Comments(2)むかしばなし
この記事へのコメント
私もこのお話、大好きです。
母の愛が真実の愛に巡り合わせてくれたこと。
感慨深かったです(^ー^)ノ

辛抱すればいつかは幸せに…良い歳してもそう信じたい自分がいます(;^_^A
Posted by 吾亦紅(われもこう)吾亦紅(われもこう) at 2014年05月19日 21:29
吾亦紅さん、本当に!先の先まで考えて子供の成長を、そして幸せを祈る母の愛。感慨深いですよね。
辛抱すればいつかは幸せに…そう信じている時が幸せなのかもしれませんね。(*^_^*)
Posted by ききみみあんこききみみあんこ at 2014年05月22日 13:55
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    コメント(2)