2013年12月24日
ききみみ…昔話♪゜・*:.。. .。.:*・♪

今日の昔話は~~~~
おもいやり
むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
ある日の事、きっちょむさんの村に、山火事が起こりました。
さいわい、火はわずかばかり焼いただけで消し止めることが出来ましたが、
火元は、たき火の不始末からだとわかったので、誰がたき火をしたのかと、
庄屋さんは村のみんなを家に集めて調べました。

しかし、誰一人として、自分がやりましたと、名乗り出るものがありません。
そこでその夜は、誰が犯人か分からないまま、別れることになりました。
しかしきっちょむさんは、その犯人を知っていたのです。
それと言うのも、孝行者、働き者で通っている佐伍平(さごへい)が、
山へゆりの根を掘りに行って、ちょうど火元のところで、たき火をしていたのを、
きっちょむさんが仕事帰りに遠くから見ていたのです。


きっちょむさんは、佐伍平が名乗り出るのを待っていましたが、気の小さい佐伍平は、
気まずそうにうつむいたまま、名乗り出ることが出来なかったのです。
そしてみんなが帰りかけると、自分もあわてて立ち上がりました。
するときっちょむさんは、何を思ったのか、
すばやく佐伍平のちょうちんを見つけてろうそくに火をつけ、
「佐伍平、お前のちょうちんはここにあるよ」
と、渡しました。
罪悪感に苦しんでいる佐伍平は、お礼も言わずに、逃げるように外へ飛び出しました。

こうしてあとには、きっちょむさんと庄屋さんだけが残りました。
庄屋さんは、ためいきをついて、
「ああ、困った事だ。今夜のうちに白状してくれれば、わしの方で内々にすませるが、
明日まで分からないとなると、山火事を役所に届けなければならぬ。
そうすると、たき火をしていた者を調べられ、その者は牢屋へ入れられてしまう」
と、つぶやきました。
すると、きっちょむさんが、こう言いました。
「庄屋さん、大丈夫ですよ。犯人が泥棒でもない限り、今に戻ってくるでしょう。
そして、ここには他の人がいないと分かったら、きっと白状してくれるでしょう」
それを聞いた庄屋さんが、
(さては、きっちょむさんが、また何か頭を働かせたな)
と、思っていると、ひょっこりと佐伍平が戻って来たのです。
そして、いきなり庄屋さんの前に手をついて、
「庄屋さん、お許し下さい! 山でたき火をして、不始末をしでかしたのは、わたしでございます」
と、白状したのです。
すると庄屋さんは、ほっとして、
「お前だったか。よく白状してくれた。なに、誰にでも失敗はある。それに、孝行者のお前の事だ、
きっと、内々にすましてやるから安心しろ」
「はい、ありがとうございます。実は、みなさんの前で白状するのが恐ろしくて、
黙ったまま家に帰りましたが、ちょうちんの火を消そうとすると、中に何かが光ったのでございます」
そう言って佐伍平は、懐から一枚の一分銀を取り出して、庄屋さんの前に置きました。
一分銀といえば、お米を一斗(いっと→一四キロ)も買う事の出来る大金です。

「どうして、わたしのちょうちんに入っていたのかわかりませんが、
このままにしておけば、わたしは火の不始末をしただけでなく、泥棒になってしまいます。
それにこれは、火の不始末を庄屋さんへ白状せよという、神さまの、
おさとしに違いないと考えました。庄屋さん、どうかお許し下さい」

佐伍平は、ちょうちんをきっちょむさんから受け取った事に、気がついていないようです。
(さては、きっちょむさん。佐伍平が正直者だと見込んで、わざと一分銀をちょうちんに入れたのだな)
庄屋さんは佐伍平の火の不始末を内々にすませたあと、
きっちょむさんに手みやげだと言って、お菓子と一緒に一分銀を返してやりました。
おしまい
さすが、きっちょむさん・・・やることが憎いですね~!
Posted by ききみみあんこ at 22:30│Comments(2)
│むかしばなし
この記事へのコメント
朝からいいお話読ませていただきました
今日も頑張ります
今日も頑張ります
Posted by サムソン
at 2013年12月26日 06:51

サムソンさん、私も大好きなお話です!
一日一日を丹精込めて過ごせたら、きっと素敵な時間が増えて充実した日々になりますよね。
コメントありがとうございました。
一日一日を丹精込めて過ごせたら、きっと素敵な時間が増えて充実した日々になりますよね。
コメントありがとうございました。
Posted by ききみみあんこ
at 2013年12月26日 19:18
