2013年11月26日

ききみみ・・・昔話♪

ききみみ・・・昔話♪



今日のお話は~~~~

打たぬのに、鳴るたいこ


 むかしむかし、あるお寺に、新しい小僧さんが来ました。
  
和尚(おしょう)さんは、小僧さんがどれくらい役に立つかたしかめようと、わざとむずかしい事を言いつけました。

「小僧よ、打たぬたいこに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめ顔をする物を持ってきなさい」

「へえ、そんな物があるのですか?」

「この世に、ない物はない。もし持って来られないのなら、お前の負けじゃ。

『まいりました、まいりました』と、十ぺん言って、毎日三度のご飯を

二度にがまんしなさい」

「・・・わかりました。何とか持ってきましょう」



 小僧さんは一人になると、腕を組んでジッと考えました。

「『打たぬたいこに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめ顔をする物』か、

そんな物が本当にあるのだろうか? 

でも何とかしないと、ご飯をへらされるし。・・・そうだ」
 
小僧さんはニッコリ笑うと、小さな袋を持ってお寺の裏の森へ出かけました。
 


そして森から帰って来ると、今度はお金を持って町へ行き、たいこを一つ買ってきました。

 そしてたいこに細工をすると、和尚さんの部屋へ行きました。

「ほう、どれどれ」

 和尚さんは、小僧さんが差し出したたいこを見てびっくりしました。

 誰もたたかないのに、


『ブルン、ブルン』

と、ひとりでに鳴っています。

「これは一体、どういう事だ?」

 和尚さんは、たいこのふちから中をのぞこうとしました。

 するとハチが飛び出してきて、和尚さんの鼻の頭をちくりとさしたのです。

「うぎゃー、いたい、いたいっ!」

 思わずしかめ顔をした和尚さんは、手や足をふりあげてハチを追い払いました。

 それを見て、小僧さんが和尚さんに言いました。

「そらね、和尚さまがおっしゃったように、『打たぬのに、鳴るたいこ。

手ふり足ふり、しかめ顔をする物』でしょう」

「・・・たっ、たしかに」

 見事にやられた和尚さんは、二度と小僧さんをためすような事はしなかったそうです。

    
おしまい

           切れ者の小僧さん・・・♦♫♦・*:..。♦♫♦*゚¨゚゚・*:..。♦
    



同じカテゴリー(むかしばなし)の記事画像
ききみみ…昔話♪
ききみみ百物語♪
ききみみ・・・昔話♪
ききみみ…昔話♪
ききみみ…昔話♪
ききみみ…昔話♪
同じカテゴリー(むかしばなし)の記事
 ききみみ…昔話♪ (2015-12-29 10:00)
 ききみみ百物語♪ (2015-06-04 22:00)
 ききみみ・・・昔話♪ (2015-05-30 14:50)
 ききみみ…昔話♪ (2015-04-11 20:00)
 ききみみ…昔話♪ (2015-04-10 14:42)
 ききみみ…昔話♪ (2015-04-06 22:30)

Posted by ききみみあんこ at 00:21│Comments(2)むかしばなし
この記事へのコメント
なかなか考えさせられます。
Posted by ヌマヅのえせフィッシャーマンヌマヅのえせフィッシャーマン at 2013年11月26日 07:16
ヌマヅのえせフィッシャーマンさん、そうなんですよね~!
昔話って、本当は大人のためにあるんじゃないかって良く思います!
お読み頂き有難うございましたm(--)m
Posted by ききみみあんこききみみあんこ at 2013年11月26日 18:04
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
ききみみ・・・昔話♪
    コメント(2)