2015年07月04日
ききみみあんこの百物語♪
ききみみあんこの今夜の百物語は・・・
狩人とネコまた

むかしむかし、あるところに、
とても腕のいい狩人(かりゅうど)がいました。
狩人は毎日、犬を連れて山に入って獲物をとっていました。
ところが、ある日の事。
「おかしいな。今日は、獲物がちっともおらん」
狩人は獲物をもとめて、
いつしか山奥に入り込んでしまいました。
「これは困った。日が暮れて、帰り道が分からぬ」
ふと前を見ると、向こうに家の明かりが見えました。
「ありがたい。今夜はあそこで、泊めてもらおう」
狩人が明かりをたよりに進むと小さなあばら家があって、
一人のおばあさんが住んでいました。
「すみません。日が暮れて、難儀しております。
どうか、一晩泊めてもらえませんか?」
するとおばあさんは、狩人が連れている犬を見て言いました。
「食う物はねえが、それでいいなら泊まるがいい。
ただし、犬はしっかりと外につないでおれよ。
家に入れると、おらのネコに食われてしまうでな。いっひひひひ」
「ネコが犬を食う?」
狩人が家の中を見回すと、かまどのそばに一匹のネコがいて、
うつらうつらと居眠りをしていました。
「何を馬鹿な事を。おらの犬は、クマでもイノシシでも倒す犬だ。
あんなネコごときに、食われるはずがなかろう」
「いいや、おらのネコは、なみの強さでねえ。
うそと思うなら、けんかさせてみるか?」
おばあさんが言うと、かまどのそばのネコがあくびをしながら、
金色に光る目を開きました。
確かに強そうなネコですが、犬に勝てるなんて信じられません。
狩人は、おばあさんに馬鹿にされていると思い、
少し腹を立てながら言いました。
「おおっ、のぞむところだ。どちらが強いか、勝負させてみよう」
狩人が犬をけしかけてネコと闘わせて見ると、
驚いた事に犬はたちまち殺されてしまいました。
「・・・そっ、そんな馬鹿な」
狩人はくやしくて、夜が明けると同時に村へ飛んで帰りました。
そして狩人は、もっと強い犬を連れて戻ってきたのです。
「ばあさま、悪いがもう一度勝負だ!」
ところがまたも、
狩人の犬はおばあさんのネコに殺されてしまったのです。

「駄目だ。あのネコに勝つには、もっと強い犬でないと」
狩人がとぼとぼ歩いて行くと、村はずれのお墓に、
のら犬がたむろしています。
狩人は木の陰に隠れて、強い犬がいないかとながめていると、
そこに旅のアメ売りが笛を吹きながら通りかかって、
犬たちに近づいていきました。

「はて? 不思議な事をするアメ売りじゃ」
狩人が見ていると、アメ売りはくるっとトンボ返りをして、
大きな犬の姿になりました。
突然現れた強そうな犬に、
のら犬たちは尻尾を巻いて逃げてしまいました。
「おおっ、この犬なら大丈夫だ。ばあさまのネコに勝てるぞ。
この犬に頼んで、二匹の犬のかたきをうとう」
狩人がアメ売りの後をつけて行くと、
アメ売りは一軒の宿屋に泊まりました。
狩人は宿屋に入っていくと、
アメ売りの部屋に行って今までの事を全て話しました。
「そんな訳だから、お前さんにネコをやっつけてもらいたい」
「なるほど。
お前さんの犬を二匹も殺したそのネコは、
おそらく、『ネコまた』だろう。

『ネコまた』とは、年老いたネコが妖力を持って、
尻尾が二股に分かれた化けネコだ。
『ネコまた』なら、犬が負けても不思議はない。
だが、わしなら勝てるぞ」
「ありがたい。では頼む」
「任せておけ。ただし、わしが『ネコまた』を負かしても、
ばあさまが怒って襲ってくるだろう。

ばあさまの正体は、年を取った大ザルじゃ。
何百年も年を取り、『ネコまた』を操るほどに妖力を手に入れた
化け物ザルだから、わしでもたやすくは退治出来ん。
なにしろ化け物ザルは、
全身を針金の様に丈夫な毛で覆われているからな。
わしがすきをみて、ばあさまの手を上げさせるから、
そこを逃さず、お前さんが鉄砲でわきの下を撃ってくれ。
わきの下なら毛が少ないから、鉄砲で倒せるはずだ」
「よし、わかった」
こうして狩人はアメ売りが化けた大きな犬と、
おばあさんの家に乗り込んでいって、ネコまたと闘わせました。
そして犬がネコまたをやっつけると、
おばあさんは顔を真っ赤にして怒りました。
「ウキーッ! よくもわしのネコまたを殺してくれたな!」
おばあさんは大ザルの正体を現して、猟師に襲いかかりました。
「なにくそ。化け物め!」
ズドーン!
猟師が化け物ザルの心臓に鉄砲を打ち込みましたが、
針金の様な毛に覆われた化け物ザルの体には、
鉄砲の玉は通用しません。
(そうだ、わきの下を撃たねば)
その時、アメ売りの化けた犬が化け物ザルに噛み付いて、
化け物ザルの手を上げさせました。
(いまだ!)
ズドーン!
狩人の撃った鉄砲の玉は見事に
化け物ザルのわきの下に命中して、
化け物ザルを退治する事が出来たのです。
おしまい
狩人とネコまた

むかしむかし、あるところに、
とても腕のいい狩人(かりゅうど)がいました。
狩人は毎日、犬を連れて山に入って獲物をとっていました。
ところが、ある日の事。
「おかしいな。今日は、獲物がちっともおらん」
狩人は獲物をもとめて、
いつしか山奥に入り込んでしまいました。
「これは困った。日が暮れて、帰り道が分からぬ」
ふと前を見ると、向こうに家の明かりが見えました。
「ありがたい。今夜はあそこで、泊めてもらおう」
狩人が明かりをたよりに進むと小さなあばら家があって、
一人のおばあさんが住んでいました。
「すみません。日が暮れて、難儀しております。
どうか、一晩泊めてもらえませんか?」
するとおばあさんは、狩人が連れている犬を見て言いました。
「食う物はねえが、それでいいなら泊まるがいい。
ただし、犬はしっかりと外につないでおれよ。
家に入れると、おらのネコに食われてしまうでな。いっひひひひ」
「ネコが犬を食う?」
狩人が家の中を見回すと、かまどのそばに一匹のネコがいて、
うつらうつらと居眠りをしていました。
「何を馬鹿な事を。おらの犬は、クマでもイノシシでも倒す犬だ。
あんなネコごときに、食われるはずがなかろう」
「いいや、おらのネコは、なみの強さでねえ。
うそと思うなら、けんかさせてみるか?」
おばあさんが言うと、かまどのそばのネコがあくびをしながら、
金色に光る目を開きました。
確かに強そうなネコですが、犬に勝てるなんて信じられません。
狩人は、おばあさんに馬鹿にされていると思い、
少し腹を立てながら言いました。
「おおっ、のぞむところだ。どちらが強いか、勝負させてみよう」
狩人が犬をけしかけてネコと闘わせて見ると、
驚いた事に犬はたちまち殺されてしまいました。
「・・・そっ、そんな馬鹿な」
狩人はくやしくて、夜が明けると同時に村へ飛んで帰りました。
そして狩人は、もっと強い犬を連れて戻ってきたのです。
「ばあさま、悪いがもう一度勝負だ!」
ところがまたも、
狩人の犬はおばあさんのネコに殺されてしまったのです。

「駄目だ。あのネコに勝つには、もっと強い犬でないと」
狩人がとぼとぼ歩いて行くと、村はずれのお墓に、
のら犬がたむろしています。
狩人は木の陰に隠れて、強い犬がいないかとながめていると、
そこに旅のアメ売りが笛を吹きながら通りかかって、
犬たちに近づいていきました。

「はて? 不思議な事をするアメ売りじゃ」
狩人が見ていると、アメ売りはくるっとトンボ返りをして、
大きな犬の姿になりました。
突然現れた強そうな犬に、
のら犬たちは尻尾を巻いて逃げてしまいました。
「おおっ、この犬なら大丈夫だ。ばあさまのネコに勝てるぞ。
この犬に頼んで、二匹の犬のかたきをうとう」
狩人がアメ売りの後をつけて行くと、
アメ売りは一軒の宿屋に泊まりました。
狩人は宿屋に入っていくと、
アメ売りの部屋に行って今までの事を全て話しました。
「そんな訳だから、お前さんにネコをやっつけてもらいたい」
「なるほど。
お前さんの犬を二匹も殺したそのネコは、
おそらく、『ネコまた』だろう。

『ネコまた』とは、年老いたネコが妖力を持って、
尻尾が二股に分かれた化けネコだ。
『ネコまた』なら、犬が負けても不思議はない。
だが、わしなら勝てるぞ」
「ありがたい。では頼む」
「任せておけ。ただし、わしが『ネコまた』を負かしても、
ばあさまが怒って襲ってくるだろう。
ばあさまの正体は、年を取った大ザルじゃ。
何百年も年を取り、『ネコまた』を操るほどに妖力を手に入れた
化け物ザルだから、わしでもたやすくは退治出来ん。
なにしろ化け物ザルは、
全身を針金の様に丈夫な毛で覆われているからな。
わしがすきをみて、ばあさまの手を上げさせるから、
そこを逃さず、お前さんが鉄砲でわきの下を撃ってくれ。
わきの下なら毛が少ないから、鉄砲で倒せるはずだ」
「よし、わかった」
こうして狩人はアメ売りが化けた大きな犬と、
おばあさんの家に乗り込んでいって、ネコまたと闘わせました。
そして犬がネコまたをやっつけると、
おばあさんは顔を真っ赤にして怒りました。
「ウキーッ! よくもわしのネコまたを殺してくれたな!」
おばあさんは大ザルの正体を現して、猟師に襲いかかりました。
「なにくそ。化け物め!」
ズドーン!
猟師が化け物ザルの心臓に鉄砲を打ち込みましたが、
針金の様な毛に覆われた化け物ザルの体には、
鉄砲の玉は通用しません。
(そうだ、わきの下を撃たねば)
その時、アメ売りの化けた犬が化け物ザルに噛み付いて、
化け物ザルの手を上げさせました。
(いまだ!)
ズドーン!
狩人の撃った鉄砲の玉は見事に
化け物ザルのわきの下に命中して、
化け物ザルを退治する事が出来たのです。
おしまい
Posted by ききみみあんこ at 23:42│Comments(0)
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