2014年10月21日
ききみみ・・・昔話♪
ききみみあんこの今日のお話は~
日本一長い字
むかしむかし、一休さんと言う、とんちで評判の小僧さんがいました。

ある日の事、隣村のお寺へ出かけた和尚さんが、
なにやら浮かぬ顔で帰って来ました。
そして和尚さんは、庭を掃除していた一休さんを見るなり言いました。
「おお、一休。
わしは今日、隣村の和尚とえらい約束をしてしもうた。
頭の良いお前に、知恵を貸してほしいのじゃ」

「はい、わたしでお役に立つ事でしたら」
「そうか、いつもすまんのう。
実は、隣村の和尚と話をしていて、お前の事が話に出た。
わしが、
『一休は知恵者で、何でも知っておるし、何でも出来る』
と、言うたら、あの和尚のやつ、
『それなら知恵者の一休に、日本一長い字を書いてもらおう』
と、言いおった。
『そんな事くらい、一休なら簡単じゃ』
と、わしも引き受けたんじゃが。
・・・一休、お前に出来るかのう?」
それを聞いて、一休さんは頭をポリポリとかきました。
「はあ。・・・仕方ありませんね。
日本一長い字、明日までに何とか考えてみます」
次の朝、一休さんは和尚さんのところへ行くと、
ニコニコしながら言いました。
「和尚さん。日本一長い字を書きますから、
隣村のお寺へお使いを出して、あちらからうちの寺まで
紙をしきつめる様に言ってください。
それと、竹ぼうきで作った筆と、たらいにいっぱいの墨を用意してください」

「おお、出来るのか! よし、わかった!」
さて、日本一長い字を書く用意が出来ると、
一休さんは隣村のお寺に出かけました。
隣村の和尚さんは、一休さんに言いました。
「まったく、こんなにたくさんの紙を用意させおって。
書けるもんなら、書いてみろ。ただし、もし書けなかったら、
紙代を弁償してもらうぞ」
「ご心配なく。それでは、わたしについてきてください」
一休さんは竹ぼうきで作った太い筆に墨をたっぷりふくませると、
つううううーっと、紙の上にまっすぐな線を走らせました。
その線はどこまでもどこまでもまっすぐ続き、
一休さんたちのお寺でようやく止まりました。
隣村の和尚さんは、一休さんに怖い顔で言いました。
「なんじゃあ、これは!?
これは、ただの線ではないか!
こんな物は、字とは言えん。
さあ、約束通り紙代を弁償してもらおうか」

すると一休さんはニッコリ笑い、
今まで引いてきた線の最後をピンと右にはねて言いました。
「はい。これで日本一長い字が書けました」
「字だと? これのどこが・・・、あっ!」
「そうです。これは、ひらがなの『し』でございます」
こうして見事に日本一長い字を書いた一休さんのとんちは、
ますます評判となりました。
おしまい
日本一長い字
むかしむかし、一休さんと言う、とんちで評判の小僧さんがいました。

ある日の事、隣村のお寺へ出かけた和尚さんが、
なにやら浮かぬ顔で帰って来ました。
そして和尚さんは、庭を掃除していた一休さんを見るなり言いました。
「おお、一休。
わしは今日、隣村の和尚とえらい約束をしてしもうた。
頭の良いお前に、知恵を貸してほしいのじゃ」

「はい、わたしでお役に立つ事でしたら」
「そうか、いつもすまんのう。
実は、隣村の和尚と話をしていて、お前の事が話に出た。
わしが、
『一休は知恵者で、何でも知っておるし、何でも出来る』
と、言うたら、あの和尚のやつ、
『それなら知恵者の一休に、日本一長い字を書いてもらおう』
と、言いおった。
『そんな事くらい、一休なら簡単じゃ』
と、わしも引き受けたんじゃが。
・・・一休、お前に出来るかのう?」
それを聞いて、一休さんは頭をポリポリとかきました。
「はあ。・・・仕方ありませんね。
日本一長い字、明日までに何とか考えてみます」
次の朝、一休さんは和尚さんのところへ行くと、
ニコニコしながら言いました。
「和尚さん。日本一長い字を書きますから、
隣村のお寺へお使いを出して、あちらからうちの寺まで
紙をしきつめる様に言ってください。
それと、竹ぼうきで作った筆と、たらいにいっぱいの墨を用意してください」

「おお、出来るのか! よし、わかった!」
さて、日本一長い字を書く用意が出来ると、
一休さんは隣村のお寺に出かけました。
隣村の和尚さんは、一休さんに言いました。
「まったく、こんなにたくさんの紙を用意させおって。
書けるもんなら、書いてみろ。ただし、もし書けなかったら、
紙代を弁償してもらうぞ」
「ご心配なく。それでは、わたしについてきてください」
一休さんは竹ぼうきで作った太い筆に墨をたっぷりふくませると、
つううううーっと、紙の上にまっすぐな線を走らせました。
その線はどこまでもどこまでもまっすぐ続き、
一休さんたちのお寺でようやく止まりました。
隣村の和尚さんは、一休さんに怖い顔で言いました。
「なんじゃあ、これは!?
これは、ただの線ではないか!
こんな物は、字とは言えん。
さあ、約束通り紙代を弁償してもらおうか」

すると一休さんはニッコリ笑い、
今まで引いてきた線の最後をピンと右にはねて言いました。
「はい。これで日本一長い字が書けました」
「字だと? これのどこが・・・、あっ!」
「そうです。これは、ひらがなの『し』でございます」
こうして見事に日本一長い字を書いた一休さんのとんちは、
ますます評判となりました。
おしまい
Posted by ききみみあんこ at 07:16│Comments(0)