ききみみ・・・昔話♪

ききみみあんこ

2013年11月26日 00:21




今日のお話は~~~~

打たぬのに、鳴るたいこ


 むかしむかし、あるお寺に、新しい小僧さんが来ました。
  
和尚(おしょう)さんは、小僧さんがどれくらい役に立つかたしかめようと、わざとむずかしい事を言いつけました。

「小僧よ、打たぬたいこに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめ顔をする物を持ってきなさい」

「へえ、そんな物があるのですか?」

「この世に、ない物はない。もし持って来られないのなら、お前の負けじゃ。

『まいりました、まいりました』と、十ぺん言って、毎日三度のご飯を

二度にがまんしなさい」

「・・・わかりました。何とか持ってきましょう」



 小僧さんは一人になると、腕を組んでジッと考えました。

「『打たぬたいこに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめ顔をする物』か、

そんな物が本当にあるのだろうか? 

でも何とかしないと、ご飯をへらされるし。・・・そうだ」
 
小僧さんはニッコリ笑うと、小さな袋を持ってお寺の裏の森へ出かけました。
 


そして森から帰って来ると、今度はお金を持って町へ行き、たいこを一つ買ってきました。

 そしてたいこに細工をすると、和尚さんの部屋へ行きました。

「ほう、どれどれ」

 和尚さんは、小僧さんが差し出したたいこを見てびっくりしました。

 誰もたたかないのに、


『ブルン、ブルン』

と、ひとりでに鳴っています。

「これは一体、どういう事だ?」

 和尚さんは、たいこのふちから中をのぞこうとしました。

 するとハチが飛び出してきて、和尚さんの鼻の頭をちくりとさしたのです。

「うぎゃー、いたい、いたいっ!」

 思わずしかめ顔をした和尚さんは、手や足をふりあげてハチを追い払いました。

 それを見て、小僧さんが和尚さんに言いました。

「そらね、和尚さまがおっしゃったように、『打たぬのに、鳴るたいこ。

手ふり足ふり、しかめ顔をする物』でしょう」

「・・・たっ、たしかに」

 見事にやられた和尚さんは、二度と小僧さんをためすような事はしなかったそうです。

    
おしまい

           切れ者の小僧さん・・・♦♫♦・*:..。♦♫♦*゚¨゚゚・*:..。♦
    

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